投資用賃貸マンションを売却する場合について
同じマンションでも居住用マンションとして売却する場合と、人に貸した状態の収益物件として売却する場合では、勝手が違ってきます。投資用マンションを売却する際に知っておくべきポイントを、いくつか下記に挙げておきましょう。
1.投資用物件の売買に慣れている仲介業者を選ぶ
一口に不動産屋といっても、それぞれ「得意分野」があります。賃貸専門のところもあれば、分譲を主に扱うところ、売却が得意な業者もあります。店頭広告やホームページをチェックして、どんな物件を主に扱っているかを見れば、おのずと得意分野がわかるでしょう。
2.査定額は「収益還元法」で算出
仲介してもらう不動産屋を決める前に、売却物件を「査定」してもらいます。住宅としてマンションを売る場合と、投資用物件を売る場合では、このときに用いる「査定方法」が違うので注意が必要です。
住宅用として売る場合は、「取引事例法」で計算するのに対し、投資用マンションは「取引事例法」と「収益還元法」を合わせて査定額を出します。(取引事例法の詳細についてはこちらをご参照下さい⇒『査定額』を決めている取引事例法)
これは、投資用マンションを購入しようとする人は、購入価格だけでなく「利回り」を重視するためです。利回りの計算方法は、
「その物件の年間収入(現在の家賃収入から経費を引いた金額)÷その物件の購入価格」
となります。例えば、年間90万円の売上がある物件を1200万円で買ったとしたら、90万円÷1200万円=0.075で、利回り7.5%となるわけです。ここから売出価格を決めていきます。その計算式は、
「年間の家賃収入 ÷ 利回り」
です。購入者が期待する利回りは、あなたのマンションがある地域によって変わってきます。人気の地区であれば、6%くらいと多少低い利回りでも売れる可能性が高いですが、最低2桁ないと厳しいと査定される可能性もあります。
ちなみに、6%、8%、10%でそれぞれ売出価格を計算してみると、「1500万円、1125万円、900万円」となります。収益還元法によって算出した価格と不動産屋のアドバイスを元に、実際の売出価格を決めていきましょう。
3.管理費や修繕積立金の滞納への対応
これがあると買主に引き継がれてしまうので、できれば事前に精算が望ましいです。手持ちの資金が厳しいのであれば、決済時に売買代金から精算、相殺して下さい。ちなみに、これらの費用の滞納については、売買までに行われる「重要事項説明書」で詳細が買主に報告されますので、黙って売却することは不可能です。
4.売り出し中に、退室があった場合
収益物件は、入居者がいるからこそ、買ったらすぐ賃料が入るのが魅力です。空室は利回りにも関わる大きな問題。すぐに不動産屋に連絡を入れて対応して下さい。
5.家賃の滞納がある場合
決済引渡し時に精算となります。ここで注意が必要です。通常、月末に翌月分の賃料が貸主に支払われています。ですから、たとえば6月1日に売買の決済をする場合、前月に徴収済みの家賃は、買主が得るもの。ここで滞納があった場合は、売主が責任を持って精算する必要があるのです。なお、引渡し後の滞納については責任を負う必要はありません。
6.預かっている保証金や敷金の扱いについて
収益物件の売買の場合、一般的に、保証金や敷金など、将来貸主が借主に返還すべきお金の義務は、買主が継承します。したがって、決済時に精算するということはありません。売買代金の中に、それら返還金も「コスト」として含んで考えるのが買主なのです。
7.借主に大家が変わることを通知する
無事、買い手がついたら、借主に所有者の変更を通知する書類を渡す必要があります。書類は、不動産屋が用意するので、あなたは記名押印すればOKです。退室時の保証金の返還などは、新しい大家に引き継がれる旨も知らせてあげると親切です。