「査定額」だけで不動産会社を決めてはいけない
「自分のマンションがいくら位で売れるか」を調べるには、まずインターネットの無料一括査定などを利用するケースが多いでしょう。ただし、これはあくまで築年数や場所、間取りなど「わかりやすい条件」から導き出される、平均的な金額にすぎません。
実物を見ないことには、細かい査定はできませんから、数社をピックアップして、実際に現地に来て「査定」してもらう必要があります。
ここで注意したいのは、「高い査定をしてくれた不動産会社に決める」と安易に決断するのは危険だということです。
確かに、少しでも高い値段で売りたいというのが売主の本音でしょう。ですが、売主として知っておくべきなのは、「査定額(もしくは、それを元にした売出価格)」と「実際の売却額」は同じではないという点です。
高い査定額につられて媒介契約を結んだとしても、なかなか売れなければ、後になって値下げするように迫られ、結果的に時間を無駄にしてしまうケースもよくあります。
大手不動産会社などの場合、媒介契約のノルマがあり、「他より高い査定額」を出すことで、契約数を伸ばそうとする戦略もあるようです。このような不動産屋では、売主の側に立ったアドバイザーとしての役割を期待できません。
信頼できる良い不動産会社は、査定価格とその背景をはっきり提示して説明してくれます。その上で、売主であるあなたの希望を聞いて、売出価格を設定するという段取りを踏んでくれるでしょう。売出価格は、売主が決められますが、査定価格と住宅ローンの残債や売却にかけられる時間なども含めて、総合的に検討していく必要があります。
また、何社くらいの不動産屋に査定を依頼すればいいかも、迷うところかもしれません。人間の心理として、3つくらいの中から1番を決めることはできても、10も選択肢があると決められなくなる傾向があります。
そこで、このような段取りを踏むことをお勧めします。
電話で問い合わせる前に5~10社ほどピックアップする
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電話で話してみた対応によって、3社に絞る
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査定を依頼する
もし、この3社でピンとくるところがなければ、また別の3社をピックアップして、査定に来てもらい話を聞いてみましょう。前回の3社とも比較しつつ、その中から1社を選ぶことは比較的たやすいはずです。
また、一度媒介契約を結んでも、担当者と折り合いが悪い、なかなか売れないということであれば、途中で不動産屋を変えることも可能(詳しくは「不動産屋を途中で変えることも可能」をご参照下さい)。いつまでも不動産屋を選ぶのに迷っているよりも、まずはマンションを市場に出してみて反応を見ながら、売却スケジュールを進めていくほうが得策と言えるでしょう。