「近所に内緒でマンションを売りたい」は不利になる
「近隣に内緒で売却したい」
「不動産広告に掲載しないで欲しい」
マンション売却時に、少なからずある要望です。売主にも、さまざまな事情があり、ご近所の噂になりたくないという気持ちもわかります。ですが、もしあなたが「少しでも高くマンションを売却したい!」と心から思うなら、こうした売却活動はあまりお勧めできません。
「レインズ(共同仲介)の仕組みを知っておく」でも述べたように、不動産業者だけが閲覧出来るデータベースがありますから、たとえ折込チラシやインターネットで広告しなくても、全国の不動産屋を通じて買主を探すことが可能です。ただし、この場合は、お店に足を運んでくれたお客さんに対しての紹介だけになりますので、かなり数が限られるでしょう。
ちなみに、「広告をしたくない」場合でも、このような方法もあるというのをご紹介しましょう。
紙媒体への折込チラシであれば、「配布禁止地域」を指定することができます。目に触れて欲しくない近隣への広告だけをストップすれば良いのです。インターネット広告にしても、購入希望者だけがアクセスするものですから、ご近所の方の目に触れる可能性はゼロではありませんが、かなり低いと言えます。
いずれにしても、「広告掲載不可物件」は、不動産屋の営業マンの立場からすると、非常に売却活動をしにくいもの。それだけ、売主のあなたもデメリットをこうむるということです。
実際、不動産購入のきっかけは、実はほんのちょっとしたことが多いもの。
「いつも通っている道を一本入ったところで、マンションが売りに出ていた」
「近所の人から、売り出しの情報を聞いた」
「駅前の不動産屋で、探していた物件を見つけた」
このように、買主候補は意外に「ご近所」にいるというケースは多いのです。たとえ魅力的な物件であっても、まったく知らない街のそれよりは、住み慣れた街のほどほどの物件のほうを選ぶという心理は、想像に難くありません。
できるだけ「人目に触れる機会」を多くし、ご近所で「口コミしてもらう」ことは、莫大な広告費をかける以上の宣伝効果があるということです。
「内緒で売る」というのは、売れる機会を自ら狭めるということ。こうした希望はゴリ押ししないほうが、後々「売れない」と焦ったり、後悔したりせずに済みそうです。