マンションの売主が知っておくべき「購売者心理」
あなたがマンションを売ろうと必死なように、買主もこれから何十年と住むかもしれないマイホームを購入するために真剣です。
立地、価格、間取り、日当たり…あなたが、今売ろうとしているマンションを購入する際に、いろいろ情報収集して、「これなら」と決断したときと同じプロセスを売主さんも踏んでいるわけです。
男性の場合は、ローンの支払額や年数、通勤時間など数字の面が気になるものですが、女性の場合は、そこで暮らす「イメージ」ができるかどうかで、物件の評価が変わってくる傾向があります。この部屋にこんな家具を置いて、テラスに家庭菜園を作って…というように、購入後の理想の生活を夢見ながら、物件を見ているわけです。
最終的な購入決定権は奥様が握っているケースも多いので、この点は注意すべきでしょう。中古マンションの場合、住みながら売るケースが多いため、モデルルームのようにはいきませんが、「生活感丸出し」の状態で内覧を迎えるのは不利になると覚えておいて下さい。
テーブルの上が片付いていなかったり、玄関脇や床に荷物が積み上げてあるようでは、「収納力」がない家と思われても仕方ありません。また、「ここは娘の部屋なので…」というように見せない部屋をつくるのも、絶対に避けましょう。
ご自分に置き換えてみればわかると思いますが、きちんと中身を確認しないで、何千万円もの買い物をすることなどできないはずです。ご家族にも協力を願って、買主さんにすべてを「開示」できる体勢を作っておきましょう。
また、人間の心理として、初めてみるものに対するキズや汚れには敏感でも、毎日使っている物の経年劣化には鈍感になりがちです。そこでお勧めなのは、マンションを売りに出す前に、第三者の目でキズや汚れをチェックしてもらうことです。媒介契約を結んだ不動産屋の担当者でもよいですし、親や親しい友人など遠慮なく意見を言ってくれそうな人に頼むのもよいでしょう。
修繕やリフォームできる点は、内覧者を迎える前に綺麗に直す努力をすべきです。もちろん、大掛かりである必要はありません。「中古マンションを売るときにリフォームは必要?」でご紹介したような方法での「プチリフォーム」や専門業者にクリーニングを頼んでみるなどがお勧めです。
費用は10万~20万円程度かかりますが、手元に余裕があるなら、この程度の投資は惜しまないほうが、結果的に早く高くマンションを売却できる可能性が高くなります。
その他の注意点としては、内覧に来た方には気さくに話しかけることです。実際に住んでからの住み心地や暮らしぶりを振り返って、住んだ人でなければわからないメリットをさりげなく内覧者にアピールすると、参考になると喜ばれるでしょう。
ただし、「売りたい」気持ちを前面に出した営業トークは逆効果なのでご注意を。投げかけら得た質問に対して、丁寧にお答えするような姿勢が好ましいと言えます。間違っても、後ろにピタリとくっついて、あれこれ説明しまくるのは避けて下さい。リラックスして、見学し検討していただくという姿勢が大切です。