マンションの「購入申込書」を受け取ったら
内覧をして、あなたのマンションを気に入ったという場合は、不動産屋を通じて「購入申書(買付申込書)」が手渡されます。これは、あくまで「買いたい」という意思を伝える書面に過ぎません。まだ、契約成立まで至っておらず、ここに記入された内容を叩き台として具体的な売買交渉が行われるものと理解して下さい。
では、「購入申込書」には具体的に何が書いてあるのでしょうか。購入したい物件の概要(マンション名、所在、面積など)や購入希望者の氏名・住所といった基本情報のほか、以下のような買主の「希望」が記されています。
・購入希望価格(売値より安い場合があります)
・住宅ローンの利用の有無と金額
・契約時の手付金の額
・契約締結の希望時期
・引渡しの希望時期
冒頭でも述べたとおり、「購入申込書」をもらった段階では、まだ「売れた」と安心することはできません。ここに書かれた買主の希望は、価格や引渡しの時期があなたの希望と異なることも考えられます。値下げに応じるのか、時期を考慮できるのかなど、媒介契約を結んでいる不動産屋と相談し、プロの目から適切なアドバイスをもらうようにしましょう。
ただ、これだけは注意して欲しいのは、返事は待たせすぎないということです。考える時間が欲しいという気持ちもわかりますが、買主の立場になってみて下さい。「購入申込書」を提出してきた時点では、「買いたい熱」が相当上がっていると考えるべきです。
何千万円もの買い物をする時には、勢いも必要。売主がグズグズして、買主の気持ちのタイミングを逃すと、別の物件に乗り換えられてしまう可能性が高まってしまいます。みすみす「売るチャンス」を逃さないよう、迅速な決断を心がけましょう。
その他、必ず確認しておきたいのは、「住宅ローン利用の場合、ローン審査が通る見込みはあるか」という点です。もちろん、ローンの審査を通すのは銀行ですので、確実なところはわかりません。しかし、相手の年収や負債額などがわかれば、ある程度のところは判断できます。
買主のローン審査がすんなり通らなければ、契約締結までに時間を取られますし、最悪、契約の白紙撤回という可能性もあります。そうならないように、売主であるあなたも、しっかり買主を選ぶべきなのです。
もう一つ、住みながら売却をする場合、気になるのは「引渡しの時期」でしょう。買い替えに際しては、新しい住まいを探す時間の余裕をある程度見込んでおくべきです。最初に決めた引渡し時期を超えると、買主に対する損害賠償が発生しますので、気をつけたい点です。
「契約締結は今週末、引渡しは3ヵ月後」という設定は可能ですので、気が変わらないうちに契約にまで漕ぎ着け、迅速に買い替え物件を探すという段取りに入るようにしましょう。
「購入申込書」に対する回答を口頭で買主に伝え、その内容についてお互いに合意すれば、いよいよ売買契約の締結となります。