マンションを1円でも高く売る「価格交渉術」
今の時代、売主の希望どおりの価格で購入が決まることは、まずないと思ったほうが良いでしょう。と言っても、売主が「購入申込書」を出す場合、売出価格の10%もの値引きを望むことはありません。たとえば2480万円であれば、端数の80万円を切った2400万円を希望購入価格として提示してくることが多いはずです。
あなたが納得できるのであれば、その価格でOKを出した時点でスムーズに契約できるでしょう。しかし、売主の本音としては、少しでも高く売りたいですよね。しかも、不動産の場合の「少し」は、数十万円に相当する額です。それだけあれば、引越し代の足しになります。
ここで、購入希望価格をめぐる買主側の心理も考えてみましょう。希望価格として値下げを見込んだ金額を提示していても、その通りになるとは向こうも考えてはいません。ただ、「少しでも安くなればいいな」とは考えているでしょう。
「購入申込書」を提出したということは、かなり「買う気」が高まっている証拠。あなたが価格にこだわって売り逃したくないのと同様に、買主も値下げにこだわって、買うチャンスを逃したくないと考えているのです。
こうした状況を理解した上で、少しでも高く売るためのテクニックを伝授しましょう。それは、決して「○○万円でお願いします」と、こちらから具体的な値段を提示しないことです。そうではなく、買主側から金額を提示させるようにして下さい。それには、このように言うと良いでしょう。
「住宅ローンの返済もありますし、正直ご提示いただいた値段は少し厳しいです。でも、せっかくの気に入っていただけましたし、良いご縁なので、是非ご購入いただきたいと考えています。いくらまでなら、買い上がっていただけますか?」
値下げの意思を含ませつつ、買主に価格を決めさせる。こうすることで、お互いに歩み寄った「納得の価格」に落ち着かせることができるのです。
こうしたやり取りをスムーズにいかせるためにも、内覧のときの印象が大切ということがおわかりいただけるでしょう。