中古マンション市場の実態
「転勤で住まなくなったマンションを売却したい」
「買い替えのために今のマンションを売りたい」
「相続で引き継いだマンションだが、住まないので売りたい」
「勧められるまま買った投資用マンションだけど手放したい」
マンション売却を考える理由は人それぞれでしょうが、まず最初に知っておくべきは「中古マンションは売れない」時代に突入してきているという厳しい現実です。
「売れない理由」は何か。大きく言うと、次の3つが考えられます。
「需給バランス」が崩れている
ここで言う「需要」はマンションを買いたいと考える人、「供給」は売りに出されているマンションを指します。ご存知の通り、少子化が進み、日本の人口は減少傾向に転じています。また、本来、マイホーム購入のボリュームゾーンであった20代後半~30代の独身率が上がったことも「需要」の低下に拍車をかけています。
「需要」の低下に合わせて「供給」も減れば「売れない」ことはなくなるのですが、新築マンションはそう変わらないペースで供給が続いています。また、経済状況の悪化で、せっかく手にしたマンションのローンを払えずに、手放さざるを得ない人も増えています。
このような背景から「マンション余り」の状態になり、売り手に対して買い手が少ない「買い手市場」となっているのが、今の不動産市場なのです。
価格の競争力で「中古マンション」が有利なのでは?と思うかもしれませんが、そうとも言い切れません。新築マンションもギリギリまで値下げをし、中古マンションとそう変わらない価格になってきています。低金利で家賃程度の支払いで家を買えるとなったら、中古より新築を選ぶという人も多いもの。むしろ、「新築マンション」こそ「中古マンション」の強力なライバルと考えるべきです。
雇用状況の悪化
新卒の就職率の悪化、非正規雇用者の増加、終身雇用の崩壊など、就労を取り巻く環境は決して明るいものではありません。
マイホームを購入するための融資が見込めなかったり、定職に就いていても「毎月のローンを何十年も払っていけるか」と不安を感じたりして、「消費マインド」が冷え込んでいる現状があります。
「賃貸でもいい」という価値観の変化
若い世代の車離れが言われていますが、住宅に関しても同じような現象が起こっています。「いつでも好きなところに住めたほうがいい」「何十年も住宅ローンに縛られたくない」など、「不動産を所有」することに魅力を感じず、「家は賃貸でも構わない」と考える人たちが増えてきているのです。
もちろん経済状況の不安定さが、こうした価値観を後押ししている面もありますが、「マイホーム」を持つことがステータスや幸せの象徴だった時代とは大きく異なってきていると考えたほうが良いでしょう。
また、1つめの理由のところでも述べたように、「低金利で家賃程度の支払いで家が買える」というのが家を購入する動機となっている点も見逃せません。つまり、「買いたい」から買うのではなく、「家賃以下で買えるから買う」「同じお金を支払うなら買ったほうが得」という選択肢なのです。
このように、中古マンション売却を考える人にとっては厳しい状況ではありますが、だからこそ「中古マンションの売却術」を知っていると知らないのとでは、大きな差が出ます。「買いたい人」が思わず選んでしまう売却のコツを知る人だけが、早く高くマンションを売ることができるのです。